地球の産物「自然石」には無限の可能性が秘められています。
その「自然石」の性質とその他建材にはない優位点をご説明します。
石の性質
@強度
構造材としてではなく、内装材として使われる石にとって、強度はさほど大きなポイントではありません。
鉱物組成や含水量、石目の方向によって違いはありますが、一般的に石は種類にかかわらず、圧縮に対しては強く引っ張りに対しては弱い一面を持っています。また、強度は比重に比例しますが、花崗岩、大理石、安山岩、粘板岩、砂岩、凝灰岩の順で強度の大きい順番になります。
石目の方向によって強度に差が出ることも特性のひとつです。
A耐火性
石により耐火性は大きく異なります。花崗岩は最も火に弱く、500℃を超えると急激に強度が下り割目ができます。大理石も火に弱く、750℃〜800℃で粉体化してきます。対して、安山岩・凝灰岩・砂岩は1000℃に達しても変色はするものの強度は衰えませんが、組成鉱物に石英が多く含まれる砂岩は熱に弱くなります。また石は比較的、熱膨張率が小さい材料ですが、床や壁に広範囲で使用したり、目地幅が小さい場合に熱を受けると損傷することがあります。
B耐久性
石は結晶鉱物の熱膨張率の差や含有水が凍結融解し壊れることがあります。
また漏水や結露、上間から浸み出した水分などによってシミができたり、浸蝕されたりしますが、これらは石を組織する鉱物のうち岩酸石灰や鉄分を含んだものが酸に弱いために起こります。一般に花崗岩・安山岩は耐久性に優れ、砂岩・凝灰岩は劣り外装に用いると白華による風化を起こす危険があります。
C空隙率
同じ組成の石では、その中に空気の入った隙間がどの程度あるのかが問題になり、隙間の割合が大きいほどに強度は小さくなってしまいます。つまり、空隙率は強度に反比例するわけですが、比重は逆に強度に正比例します。
D吸水率
吸水率の大きな砂岩や凝灰岩などは、温度が極端に下がると石材に含まれた水分が凍結して石そのものを傷つける恐れがあります。とはいえ、吸水率の大きいことは内装面では悪いことではなく、湿式工法においてはモルタルとのなじみが良く、接着しやすいという利点があります。
E耐摩耗性
床材として石を使用する際に耐摩耗性は大切なポイントです。歩行する人が多く傷みやすい場所では硬くて摩耗しにくい花崗岩などが適しており、摩耗しやすい大理石の使用は注意が必要です。また、仕上げ材によりますが、滑りにくさでは花崗岩や蛇紋岩があげられます。
F耐薬品性
酸やアルカリなどの薬品への耐薬品性も石材を選ぶポイントです。なかでも粘板岩は耐薬品性に優れています。薬品を使う場所や温泉場などに石を用いるときは、この耐薬品性は注意が必要です。
天然石材の優位点
天然石材には、その他建材に比べはるかに強い耐久性を持ち、その品質を長く保つことができるという特筆すべき優位点があります。これは、天然産出の岩石が何万年、何十億年にわたって風雨や太陽熱・地熱などの影響を受け続けた結果に他なりません。
石材は硬いほどに長持ちし、今でこそ花崗岩など比較的硬い岩石の利用が普及していますが、加工技術の未発達だった時代には蛇紋岩や大理石、砂岩などの柔らかい岩石の利用が盛んだったようです。
石材の硬さは岩石を構成する鉱物の硬さと鉱物の組織によって決まりますが、その組織については石材が火成岩・堆積岩・変成岩のいずれかであるかによって幅広く変わります。
また天然石材の高級感や風合いといった素材感は、人造石材およびその他建材には到底造り出すことができない、天然ならではの優位点です。